出雲そばの特徴と美味しい食べ方を徹底解説
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目次
日本三大そばのひとつ、出雲そばとは?
出雲の名の由来は「八雲立つ出雲」から幾重にも重なる愁眉な雲がわき出る姿から名付けられたというのが一般的です。
10月が「神無月」と呼ばれる所以でもある全国津々浦々の神々が集まる出雲大社が全国的には有名でしょう。
その出雲の名を冠するそば、出雲そばの特徴を紹介します。
日本の三大そばとは
日本三大瀑布、日本三大温泉、日本三大祭りなど全国的に有名な史跡や名所、事象などと並び、そばにも日本三大があります。信州の戸隠そば、盛岡のわんこそばと出雲そばです。
すすいだ水をほとんど切らずに出すことや「ぼっち盛り」が特徴の戸隠そば、熱いそばつゆをくぐらせた一口大のそばを給仕が振る舞うわんこそばに対して、
出雲そばでは「割子そば」や「釜揚げそば」が出雲ならではの食べ方。どのそばも「挽きぐるみ」というそば粉を用いる特徴があります。
日本三大そばの歴史を紹介!蕎麦が全国に広まった理由とは?
出雲そばに用いられる「挽きぐるみ」とは
出雲そばの特徴ともいえる「挽きぐるみ」とは、どのようなそば粉になのでしょうか。
そば粉は、そばの実を石臼やローラーなどで挽き、製粉にしたものですが、挽き出される過程によって「一番粉」「二番粉」「三番粉」などの名称があります。
乾燥させたタデ科のそばの実「玄そば」の外皮(果皮)を脱皮して「丸抜き」となった実を昔ながらの石臼で、または機械化されたローラーで挽きます。
挽きはじめに最初に出てくるものが「一番粉」と呼ばれる、そばの実の中心部分にあるデンプン質を多く含み色が白い粉。胚乳の中心部分で香りはあまり強くありません。
そのまま挽き続けると、胚乳と胚芽の一部で構成された「二番粉」が挽き出されます。
タンパク質も含まれ、そば特有の香りも強くなり、中層子と呼ばれる部分です。さらに挽き続けると「三番粉」と呼ばれる部分が出てきます。
暗い青緑色をしており、胚乳の一部と胚芽に甘皮(外皮)が含まれます。栄養価が高く、香りもより強くなります。
これら一番粉、二番粉、三番粉を取り分けない「全層粉」のことを「挽きぐるみ」と呼び、色が濃く、風味が強いそば粉によって、出雲そばを味わい深いそばに仕立てています。
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栄養価が豊富な出雲そば
出雲そばで使われる挽きぐるみのそば粉は疲労回復に役立つビタミンB1、栄養素の代謝を促すビタミンB2などの高い栄養価が含まれています。
特に三番粉に多く含まれるルチンと呼ばれている栄養素によって、血液のスムーズな流れを促し、毛細血管を丈夫にし、生活習慣病の予防としても高い効果を発揮すると言われています。
さらに、そばはダイエット食としても人気があります。
その理由は、糖の吸収スピードを示すGI値が低いため血糖値が上がりにくく、太りにくい性質をもっていること。
さらに、ダイエットにおいて重要なたんぱく質が多く含まれているからです。
よく聞く「挽きぐるみ」そばの製粉で風味や香りが全く異なる!
出雲そばの美味しい食べ方とは?
出雲そばの食べ方は、全国的によくあるざるそばや、かけそばとどのような違いがあるのでしょうか。
出雲そばの特徴ともいえる「割子(わりご)そば」と「釜揚げそば」の作法を紹介します。
割子そば
「割子」という丸い器に盛ったそばにつゆをかけて食べる割子そば。
通常、ざるそばや、もりそばは「そば猪口」につゆをいれ、そばをそこにつけてすする、というものが一般的でしょう。
割子そばは、そばが盛られている丸い器に直接つゆをかけるスタイルが特徴です。
割子そばはお店によっても異なりますが、通常2段や3段の丸い器にそばが盛られており、それ以外に薬味の器が用意されます。
ルーツは不味流を起こした茶人松江藩七代目藩主松平治郷がそば好きで、武士の割合弁当箱である重箱にそばを入れたことに由来すると言われています。
当時は四角形の重箱でしたが、現在のような丸形になったのは明治になってから清潔に食洗できることから、と言われています。
食べ方の作法は、一番上の器のそばに、薬味とつゆをかけて食し、食べ終わったら残ったつゆをその下の器にかけて、適宜つゆと薬味を追加。
食べ終わったらさらに下の器に残ったつゆをかけて食べる、というもの。
最後にそば湯をまぜて飲んでも美味しいそばです。
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釜揚げそば
割子そばがざるそばや、もりそばと同様に冷たいそばの食べ方とすれば、かけそばのような温かいそばの出雲そばらしい食べ方は「釜揚げそば」になります。
茹で上げたそばを水にさらさず、そば湯とともにどんぶりに移し、釜揚げそばではそこに甘辛いつゆや薬味を足して食べるのが作法。その由来は出雲大社参拝にて門前で出されたそばにあります。
全国の神々が神事行ったのち、それぞれの土地へ帰る旧暦の10月17日と26日に神々をお送りする儀式「神等去出祭(からさでさい)」にて食べるそばは伝統的に釜揚げそばとされています。
今の暦ですと、11月になる寒い時期ですから、温かい釜揚げそばで身体の中から暖めるのは理にかなっているといえるでしょう。
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出雲そばを自宅で楽しむ方法
出雲そばを自宅で楽しむのであれば、釜揚げそばが手軽に、また栄養分が豊富なそば湯も堪能できますのでおすすめです。
用意するものもどんぶり1つあればすみますし、ゆで汁を無駄にしないところもポイントです。
簡単に楽しむなら釜揚げそば
鍋たっぷりに沸かしたお湯に、そばの袋に記載された時間でそばをゆでます。
ゆであがりを熱々のままどんぶりに盛り、そばが隠れるくらいにゆで汁を入れます。
そばつゆを好みの濃さになるまでいれて、薬味を入れます。出雲ではもみじおろしが定番です。
自宅で楽しむ出雲そば:麺
出雲そばならではの挽きぐるみでそばの風味を存分に味わい尽くすなら、十割そばがおすすめです。
国内需給率0.1%の島根県産のそば粉のみで仕上げたこだわりの逸品。ゆで湯もそば湯としてお召し上がりください。小麦を使わない十割そばはグルテンフリーとしてもご利用いただけます。
出雲そばを自宅で楽しむ:つゆ
東日本に比べ、西日本では醤油は甘口が好まれます。また、東京(というよりは江戸)では、ざるそばでも、つゆに全部つけるのではなく、少しだけ着けることが粋とされていることもあり、総じてつゆが辛めです。
出雲そばではしっかりとつゆにつけますので、辛めのつゆよりは、出雲らしい優しい味のつゆのほうが出雲そばを堪能できるでしょう。
甘さは控えめで東日本の方でも無理なく堪能できるでしょう。
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まとめ
出雲そばは夏場に楽しみたい「割子そば」と寒い冬に身体をあたためる「釜揚げそば」の2つの食べ方で堪能できます。
そばも挽きぐるみでそばの味をしっかり堪能したいですね。