「手打ちそば」と「手打ちうどん」の違いは?道具・材料・手順を比較!
お蕎麦辞典そばの豆知識ブログ
そば粉を使用するそば打ちと、小麦粉を使用するうどん打ち。
どちらも趣味として打つ方も多く、奥が深そうですが、それぞれに大きな違いはあるのでしょうか。
そこで今回は、そば打ちとうどん打ちの材料・道具・手順などを比較し、違いを解説します。
「難易度はどちらが高い?」といった疑問を持っている方も、ぜひチェックしてみてください。
目次
そば打ちとうどん打ちの歴史
そば打ちもうどん打ちも起源は中国であり、現在の形になったのはともに江戸時代です。
そばは、安価であることや、早く茹でられることからせっかちだった江戸時代の江戸っ子の間で人気になりました。
しかし、うどん屋は江戸にそば屋が登場する前から、人々から親しまれていたようです。
ただし、そばの実は縄文時代から存在し、その後の弥生時代に小麦が伝来したと言われています。
また、そばの生育可能温度は0〜45度とどんな土地でも育ち、生育期間も短いことから奈良時代には備蓄食糧として蕎麦の栽培を令していた過去も存在します。
食べ方は違えど「蕎麦」は小麦よりも古い存在であり、長くに渡り日本人の食を支えてきたと言えるでしょう。
参考書籍:
「すし 天ぷら 蕎麦 うなぎ 江戸四大名物の誕生」|そば屋の誕生
「粋を食す 江戸の蕎麦文化」|蕎麦切りの始まり
そば打ちとうどん打ちの材料と道具の違い
まずは、そば打ち・うどん打ちの材料と道具を比較して、違いがあるかどうかを見ていきましょう。
どちらもシンプルな材料|違いは「塩」
そば打ち・うどん打ちの材料は、以下のとおりです。
- そば打ちの材料:そば粉・小麦粉・水(八割そばの場合)
- うどん打ちの材料:小麦粉・塩・水
そば打ちはそば粉の割合によって小麦粉の量も変化しますが、そば打ちもうどん打ちもどちらもシンプルな材料です。
小さな違いとしては「塩」の有無。
うどん打ちでは小麦粉の粘りやモチモチ成分である、グルテンの粘りを引き出すために塩水(塩)を用意します。
市販のそばの中には原材料に塩が含まれているものもありますが、そば打ちではほとんど使用しないようです。
さらに、うどん打ちには例外もあり、名古屋名物の「味噌煮込みうどん」は塩を入れずに打ったうどんを、生のまま味噌ベースの汁で煮込みます。
ちなみに、うどん打ちで使用した塩分は、茹でる際に8割以上が流れ出ると言われているため、塩分の過剰摂取を気にする必要はありません。
そば打ち・うどん打ちの道具は併用可能
続いて、そば打ち・うどん打ちの道具を比較してみます。
- そば打ちの道具:こね鉢、そば切り包丁、のし台、麺棒、こま板
- うどん打ちの道具:こね鉢、麺切り包丁、のし台、麺棒
そばを切る際には、均等に切るための「こま板」を使用しますが、うどん打ちでは使用されないことが多いです。
しかし、自宅で簡単にそば打ちをはじめる際は、こま板を使用しなかったり、ほかの道具で代用することもあるため、絶対に必要な道具ではありません。
また、そば打ちの道具のセットはうどん打ちを含めた「麺打ちセット」として販売されていることもあり併用可能です。
そば打ちとうどん打ちに必要な道具には、ほとんど差はありません。
そば打ちとうどん打ちの手順の違い
続いて、そば打ちとうどん打ちの手順を比較していきます。
そば打ちの手順 | うどん打ちの手順 | |
下準備 | そば粉と小麦粉を混ぜる | 塩水をつくる |
水回し | 水を少しずつ加えて混ぜる | 塩水を少しずつ加えて混ぜる(そぼろ状) |
こね | 表面にツヤが出るまでこねる(約100回) | 団子状に丸めてビニール袋に入れて足踏み(20回×3.4回) |
寝かし | – | 団子状にしてビニール袋に入れて寝かせる(夏1時間・春秋1〜2時間・冬2〜3時間) |
延ばし | 打ち粉をまいて麺棒で延ばす | 打ち粉をまいて麺棒で延ばす |
たたみ | まず半分にたたんで、次に両端1/3ずつたたみ、さらにに半分にたたむ | 屏風だたみにしていく |
切る | コマ板を使用して均一に切る | 3mm程度に切っていく |
そば打ちのポイントは以下のとおりです。
- 良質なそば粉を使用する
- 水を少しずつ入れる(全量使用しない場合もある)
- 温度と湿度に気をつけて素早くこねる
うどん打ちのポイントは以下のとおりです。
- 水合わせは素早く混ぜてそぼろ状にする
- こねると固くなってくるが寝かせることで柔らかくなるため無理に伸ばさない→グルテンが切れてしまう
上記の手順とポイントから、手順の違いを下記にまとめました。
素早さが大切なそばと寝かせるうどん
そば打ちとうどん打ちの大きな違いは「寝かし」の有無です。
そばは時間の経過で加えた水分が蒸発することで、ひび割れの原因になるため、加水後は一気に仕上げるのが成功のポイントです。
一方うどんは、寝かせることでグルテン成分の粘りを与え、ふっくら柔らかいうどんに仕上げるといった特徴があります。
こね鉢に擦り付けるそばと足でこねるうどん
こねはこねでも、こね方に大きな違いがあります。
こね鉢に擦り付けるようにこねて表面にツヤを出すそばと、足を使って豪快にこねるうどん。
そばは、腕だけでなく上半身を使ってこね鉢にギュッと押し付けるようにこねます。
一方、うどんは足踏みでこねて小麦粉の成分グルテンに弾力を出します。
力強い男性であれば手を使ってこねても問題ありませんが、寝かせる前のうどんは固く、女性や子どもが作る場合には力が足りず、うどんに弾力が加わらない場合もあるため、足踏みでこねるのがおすすめです。
湿度と温度が重要なそば打ち
大きな違いではありませんが、そば打ちではうどん打ちよりも湿度と温度管理が重要です。
うどん打ちでも、温度によって寝かせる時間など変動しますが、小麦粉のグルテンによってたたむ工程や切る工程で切れにくくなります。
しかし、そば打ちでは小麦粉(グルテン)の含有量が少ないため、生地自体に弾力が少なく、水分が蒸発することでひび割れたり、切れやすくなります。
そば打ちでは、湿度や温度によって水分の量を微妙に変える必要があるでしょう。
そば打ちをはじめる前に、打ち手が心地よく感じる室温にしておくことも大切です。
そば打ちのほうが難しいが栄養価は高い
そば打ちとうどん打ちを比較すると、時間との勝負であるそば打ちのほうが難しく感じられます。
それは、そば粉にはグルテンが含まれておらず、生地に粘りや弾力が出ないためです。
しかし、そばはそば粉を使用しないうどんよりも栄養価が高いのが最大の魅力。
そば粉に含まれる主な栄養価は以下のとおりです。
- ルチン(ポリフェノール)
- ビタミンB1
- ビタミンB2
- カリウム
- マグネシウム
- 食物繊維
穀物類では唯一、ルチンというポリフェノールが含まれており、強い抗酸化作用があります。
また、ビタミンB1やビタミンB2は茹でた際に流れ出てしまいますが、そばを茹でた後のそば湯を楽しむことで、取り入れることができるでしょう。
そば打ちしたそばは完全無添加であるため、安心してそば湯を堪能できます。
手軽に打ち立てのようなそばを食べたいなら本田屋
「そば打ちに挑戦してみたいけど、毎回は難しいかも」という方は、本田屋の出雲生そばがおすすめです。
本田屋の生そばは、五割から十割そばまで用意されており、すべて保存料や添加物不使用。
ほかにも、島根県産そば粉を使用した五割生そばなど、バラエティに富んだ生そばを展開しています。
そば打ちもうどん打ちの難易度は異なる
今回は、そば打ちとうどん打ちの違いを材料・道具・手順などと比較して紹介しました。
材料や道具では、大きな違いは見られませんでしたが手順では、「寝かし」の工程の有無に大きな違いがありました。
塩水の使用やこね方の違いなど小さな違いもありますが、おいしく打つポイントとして非常に重要です。
うどん打ちでは、小麦粉のグルテンを活かす打ち方を行うため、生地にも弾力や粘りが出て、ひび割れや短く切れるなどの心配はありません。
一方、そば打ちでは小麦粉の使用が少ないため、弾力が少なく、時間の経過による水分の蒸発によって生地が切れやすくなります。
そのため、難易度はそば打ちのほうが高いでしょう。
しかし、そばは栄養価が高く自分で打ったものは材料が明確であるため、そば湯まで安心して堪能できます。
ぜひ、時間の余裕を見つけ、新たな趣味としてはじめてみてはいかがでしょうか?