そば打ちの失敗例と原因|水の分量や打つ時間に注意!
お蕎麦辞典そばの豆知識ブログ
そば打ちは奥が深く、新たな趣味としても最適です。
しかし、失敗も怖いもので、なかには「どうなったら失敗なの?」「失敗しないためには何に注意したら良い?」などの疑問を持っている方も多いと思います。
そこで今回は、そば打ちの失敗例と原因について詳しく解説します。
失敗してもおいしく食べられるリメイクレシピも紹介しているため、参考にしてみてください。
目次
そば打ちのポイントは?
そば打ちは、茹でた後のコシや好みを追求していくと奥の深いものですが、「とりあえず形にしたい!」という場合には、水の量と加え方を知っておくことで大きな失敗はないでしょう。
例として、はじめての方でも作りやすい量の約5人前の二八そばを作る場合の水の量と加水方法を紹介します。
約5人前のそばを作る際、そば粉500g+小麦粉100g=総量600gに対して、水は粉の重さの半分きっちり300ccを用意し、計3回に分けて加水します。
- まずは半分の量の150ccを入れ水回しを行います。
- 生地に水をよく馴染ませたら150ccのうち100ccを入れる
- さいごは生地の様子(粉の纏まり具合)を見ながら残りの50ccを入れる
最後の50ccは耳たぶよりも少し固めになるよう、生地の様子を見ながら加水するため、全量を使用しないこともあります。
仕上げの加水は、粉の鮮度や粉のが持つ水分によって異なります。
さらに、加水は素早く行うことで以下で紹介するような失敗も少ないでしょう。
そば打ちの詳しい手順は以下の記事で、写真とともに紹介しています。ぜひチェックしてみてください。
そば打ちの失敗例は主にひび割れや切れ
そば打ちの主な失敗例は以下のとおりです。
- そばの生地をたたむ際にひび割れて切れてしまう
- ぶちぶちと切れて1本1本が短い麺になってしまう
そば打ちには、切る前にたたむ工程がありますが、しなやかな生地でなければ折れ目からひび割れてしまいます。
こねの作業が終わり、延した後のそばに加水はできないため、ひび割れてちぎれてた場合には短い麺ばかりになるでしょう。
また、ぶちぶちと切れてしまうそばは茹でることで水分がプラスされ、なんとかそばの形にはなります。
しかし、ひび割れ同様に短い麺ばかりになり、「そば打ちが成功した」とは言い難いです。
そば打ち失敗の原因は水分量の過不足
そば打ちのポイントは水の量や加え方と先述しましたが、失敗例のようなひび割れや短く切れる麺は、加水不足によって引き起こります。
「分量は正しいはずなのに」「工程どおりにしているのに」という方は、以下の原因をチェックしてみてください。
室温と湿度に注意して加水する
まずは、そば打ちの前に作業する部屋の室温と湿度に注意します。
夏に作業する場合、湿度が高いため水を少なめに意識して、柔らかくなりすぎないように意識してください。
夏の湿度を相手にするのは、そば打ち職人でもむずかしいことです。
ただし、夏の暑さにより、室温や体温などで蒸発が早まる場合もあるため、打ち手が丁度良いと感じる室温に調整して作業をはじめます。
逆に冬は乾燥するため、水の量を少し多めに意識します。
ただし、増減する水の量は2〜4%の変動までにして、大きく変えないようにしましょう。
室内を適温にするために、冷房や暖房を使うと思いますが、風が直接当たらない場所で作業し、乾燥を早めることのないよう注意してください。
こねる時間が長い
加水後のこねる時間は、そば打ちにとって非常に重要です。
上半身の重さを使い100回こね、生地の表面がつやつやしてきたらこね作業完了のサイン。
しかし、こねる時間が長くなると水分はその分蒸発するため、できるだけ手早くこねるのが基本です。
また、夏場は暑さや湿度の高さから、思った以上にまとまりやすく感じますが、手抜きのないようにしっかりこねましょう。
夏場はそば粉、水ともに冷蔵庫で冷やしたものを使うと、こねる回数が不足することを防止できます。
そば粉の質
加水工程のほかにも、使用するそば粉の質に気をつけ「質の良いそば粉」と断言できるそば粉を使用することで失敗を阻止できます。
そば粉は、そば屋やそば粉をメインに取り扱うそば粉屋から手に入れると、良質なものが手に入りやすいです。
さらに、「挽きたての良質なそば粉を販売している」と謳っているオンラインショップでは、公式サイトの内容や、口コミ・評判を確認してから購入を検討してみましょう。
また、良質なそば粉を手に入れても、誤った保存・管理であればそば粉の品質も下がります。
購入したサイトや商品に記載されているそば粉の保存方法を参考に保存・管理し、開封後は早めに使用しましょう。
はじめての場合自己流はNG
はじめてそば打ちに挑戦する場合は自己流を避け、材料の分量やそば打ちの手順を守りましょう。
加水したら素早く生地に水を馴染ませる工程や、100回以上こねて表面をつやつやにするなど、丁寧に工程をこなすことで失敗なく自宅で打ち立てのそばが食べられます。
また、はじめてのそば打ちには更科粉よりも全層粉を使用するのがおすすめです。
そば粉にはいくつかの種類がありますが、更科粉は「一番粉」とも呼ばれ白く、できあがったそばはのどごしの良いツルッとした食感です。
全層粉は一番粉から三番粉まで挽き込まれたもので、のどごしよりもそばの香りが強いのが特徴です。
更科粉はでんぷん質であるためサラサラで、まとまりにくく、加水時に熱湯を使用する「湯ごね」で打つ特徴があります。
加水後は、冷めないうちに素早く混ぜる必要があるため、全層粉を使用する場合よりも難易度が高いでしょう。
そば打ちデビューでは、材料や手順においては自己流NGですが、そば打ちの道具に関しては、代用できるものがあるため以下の記事を参考に用意してみてください。
失敗!切れたそばのリメイク方法
そば打ちで失敗と言われる、ひび割れや短く切れてしまったそばでも、材料はそば粉と小麦粉のため、リメイクすることでおいしく食べられます。
そこでここでは、そば打ち時に切れたそばのリメイクレシピを紹介します。
そば粉ガレット
ガレットとはフランス発祥の、そば粉を使用したクレープのような料理です。
失敗したそばの塊を水で溶いてしまいます。
柔らかい生地にしてフライパンやホットプレートで焼くとガレットが完成します。
参考となるレシピの材料は以下のとおりです。
【材料】
- 蕎麦粉(もしくは失敗した蕎麦の塊):500グラム
- 水(失敗蕎麦の場合はそば打ちで使った分の水を減らす):
500CCもしくは200CC - 牛乳:300CC
- 生卵、玉ねぎスライス、チーズ、ハム:好きなだけ
(引用: そば打ち失敗の救済に!蕎麦粉のガレット by ゆっこさん)
そばねぎ焼き
「打ったそばを主食にするはずだったのに…」という方には、そばを使ったお好み焼き風アレンジがおすすめです。
そば打ちで失敗したそばを茹でて用意して、以下の材料とともに焼きましょう。
【材料】
- そば:150gくらい
- 細ねぎ:1/2〜1束
- たまご:1個
- 薄力粉:大さじ2
- 和風だしの素:小さじ1
- 水:30〜50ccくらい
(引用: そばねぎ焼き…残ったそばアレンジ… by こえにゃん)
ねぎだけでなく桜えびやお肉を入れたり、焼くタイミングでごま油をまわし入れると、また違った味わいになるでしょう。
そば打ちでは、茹でることで麺としては失敗しても無添加のそば湯も楽しめますよ。
揚げそば
お酒のおつまみとしておすすめなのが、切れたそばを油で揚げる「揚げそば」です。
実際に、そば打ちで出た切れ端などを使い、おつまみメニューとして提供しているそば屋さんも存在します。
以下のレシピでは、余った茹で蕎麦を使用していましたが、生そばでも問題なく作れます。
【材料】
- 茹で蕎麦:120g
- 揚げ油:適量
- 昆布茶:3g
(引用: 昆布茶と茹でそばで!おつまみ☆揚げ蕎麦 by かっちゃん杉)
昆布茶を使うことで、お酒に合う味付けが簡単にできます。
また、サラダにトッピングすることで、いつもの違った食感や風味が新しいサラダになるでしょう。
食べて美味しい「本田屋」の出雲そば
そば打ちでは、ひび割れずに切って茹でることに成功しても、いざ食べてみると「思っていたそばとなんか違う…」という経験もすることでしょう。
日本三大そばの出雲そばは、「挽きぐるみ製法」を用いた全層粉を使用した黒っぽい麺が特徴的です。
麺の黒さは、そばの実の殻やその周辺の甘皮部分であり、そばの栄養と香りが高い部分でもあります。
また、本田屋のそばは保存料や食品添加物不使用です。
しかし、賞味期限は製造日から180日と数ヶ月持つため、ゆっくり堪能できるのもポイントのひとつ。
そば打ちの失敗は「水」何度も挑戦してみよう!
そば打ちの失敗の原因は、加水不足であることが多く、夏場には過加水が失敗のもとにもなるでしょう。
しかし、ひび割れたり切れたりと失敗したそばでも、そのままリメイクすることで、おいしく食べられます。
揚げそばでは、あえて短く切って揚げることもあるため、短く切れたそばは最適な食材です。
失敗してもおいしく食べられるため、水の量やこねる時間などに気をつけて何度もトライしてみてください。
どんなに失敗しても、きっと今まで食べてきた蕎麦より一番美味しいはずです。