蕎麦にはなぜ天ぷら?カロリーが気になる人も必見!
お蕎麦辞典そばダイエットブログ
そば屋には必ずと言って良いほど、天ぷらが用意されています。
メニューに天ぷらそばがあるお店も珍しくなく、天ぷらを求めて蕎麦を食べにいく人も少なからずいるはずです。
しかし、なぜこの組み合わせが主流になったのでしょうか。
そこで今回は蕎麦×天ぷらの歴史や、食べ合わせの相性について解説します。
自宅で蕎麦×天ぷらをたのしみたい方へ、おすすめの天ぷらもご紹介しているため、ぜひ参考にしてください。
蕎麦×天ぷらの歴史
蕎麦は、安永年間(1772年〜1781年)の江戸ですでに栄えており、うどんやそうめん屋さんよりも店舗数を増やしていました。
当時のそば屋さんは屋台が多く、天ぷらも同時期に屋台の数が増えています。
当時ワンコインで食べられる天ぷらでしたが、東京湾で獲れる海老や海産物を使った高級天ぷらが文化年間(1804年〜1818年)に登場しました。
文化14年(1817年)にはすでに、鶏卵の天ぷらを蕎麦に入れて食べていたといった書物が残っています。(「四十八癖」三編)
続く、文政5年(1822年)には十返舎一九の「金草鞋」十五編で、以下のようなそば屋のメニューが描かれています。
- そば
- あんかけうどん
- あられ
- 天ぷら
- 花まき
- しっぽく
- 玉子とじ
メニューの説明には、「天ぷら 芝海老の油あげ三、四を加ふ」と書かれており、当時すでに蕎麦にトッピングしていることが分かります。
そば屋が「天ぷらそば」をメニューの主流にしたのは、1827年〜1837年ごろ。もともとは、客が屋台の天ぷら屋さんで天ぷらを購入し、屋台のそば屋の蕎麦にトッピングして食べたのが発端とされています。
別のお店の天ぷらを蕎麦に入れて食べていた姿は、天保14年(1843年)の「柳樽二篇」にも描かれているため、屋台をはしごする姿も長らく続いたのでしょう。
屋台から民衆の心を捉えた蕎麦と天ぷらは、お互いの相性も良く自然と一緒に食べられるようになりました。
日本三大そばの歴史を紹介!蕎麦が全国に広まった理由とは?
カロリーを気にする人も天ぷらは◎!?
現在では、天ぷらをトッピングせずとも、ざるそばやもりそばに天ぷらを添えたメニューも主流です。
別添えの天ぷらには、サクサクのまま塩をつけて食べたり、蕎麦のつゆを染み込ませるなど、それぞれお好みの食べ方ができます。
蕎麦だけを食べるよりも、海老や鶏卵、野菜の天ぷらと一緒に食べることで、たんぱく質やビタミンなどの栄養を補えるといった大きなメリットも。
また、海老の天ぷらは1尾約53kcalであるため、2尾でも100kcalと1人前370kcal前後のざるそばやかけそばと合わせても、500kcal前後です。(参考:カロリーSlism)
天丼のような甘いタレをかけることもないため、必要以上にカロリーが上がることもありません。
カロリーSlismで公開されている、天ぷらのカロリー(一部)は以下のとおりです。
- 海老の天ぷら1尾(27.5g) 53kcal
- ちくわの天ぷら1本(42g) 74kcal
- かぼちゃの天ぷら一切れ(37.4g) 68kcal
- なすの天ぷら一切れ(26.4g) 36kcal
- アスパラガスの天ぷら1本(32g) 52kcal
- さつまいもの天ぷら1個(72g) 156kcal
「蕎麦だけでは物足りない!」という方も、天ぷらをプラスすることで腹持ちも良く、大満足の一食になるでしょう。
そばのカロリーってどれくらい?気になるGI値もあわせてご紹介!
自宅で作りたい!蕎麦におすすめの天ぷら6選
蕎麦と天ぷらの歴史は古く、2つの組み合わせの相性は江戸っ子のお墨付きです。
天ぷらには多くの種類がありますが、ここでは蕎麦におすすめの天ぷらを6つご紹介します。
海老
江戸時代末期に高級天ぷらとして親しまれていた海老の天ぷらは、現代でも外せません。
蕎麦だけでは足りないたんぱく質を手軽に補えます。
江戸時代は、東京湾で獲れる芝海老が主流でしたが、現在では車海老など気軽に手に入る海老であれば問題ありません。
小ぶりの海老は、何尾か一緒に衣を付けてかき揚げにしても良いでしょう。
海老は、下ごしらえの段階でしっかりと水分をとり、野菜よりも高温の180度で揚げます。
海老の中心は生のうち引き上げて、余熱で火を通すようにすると自宅でもお店のような海老の天ぷらに仕上がります。
大葉
蕎麦の薬味としても活躍する大葉は、多めに購入して天ぷらとしても取り入れてみてください。
揚げる時間も短く下処理もないため、天ぷらをはじめて作る方にもおすすめです。
購入した大葉は水洗いしたいところですが、水分が残りやすいため、汚れがあればキッチンペーパーなどで拭くぐらいにしておきましょう。
大葉は、片面だけに天ぷら粉をつけて揚げることで鮮やかな緑色もしっかり映えます。
片面だけに衣を付けることで、大葉の天ぷらのパリッとした軽さも損いません。
しかし、衣がついていない表部分も揚げることで、サクッとした食感が得られるためさっと油にくぐらせましょう。
大葉の爽やかな香りは蕎麦との相性も良いため、夏場のざるそばにも添えたい一品です。
アスパラガス
春が旬のアスパラガスは水溶性のビタミンを多く含み、蕎麦の付け合わせにおすすめの食材です。
太くて柔らかいものを選び、切らずに1本丸ごと揚げるのがキーポイント。
長いアスパラガスはカットしてしまいがちですが、切り口から水分が出てしまい、せっかくの風味や栄養素が損なわれてしまいます。
また、アスパラガスの表面はつるつるしており衣が剥がれやすいため、油に入れたらあまり触れずに約1分間揚げましょう。
油の泡が少なくなったら裏返し、約30秒ほどで引き上げて完成です。
舞茸
秋の味覚のきのこ類は、カロリーが気になる方にもおすすめの天ぷらの具材です。
なかでも舞茸はバラバラになりにくいため、作りやすく食べ応えも抜群。
舞茸の下ごしらえは、傘の根元に切り込みを入れて平らにならします。
舞茸の魅力である香りを活かすためにも、平らにする際は薄くしすぎないようにしましょう。
また、天ぷら粉が濃すぎると舞茸の傘と傘の間に衣がつきすぎてしまうため、薄めの濃度にしておくとより良いです。
はじめの30秒は両面じっくり火を通しますが、その後は15秒ごとに頻繁に裏返して泡の状態をみます。
舞茸の香りは、蕎麦つゆの出汁とも相性抜群であるため、香りと水分がギュッと詰まった天ぷらを作ってみてください。
さつまいも
秋から冬に向けて旬の、さつまいも・じゃがいも・かぼちゃもそばと一緒に食べる天ぷらとしておすすめです。
特にさつまいもは、炭水化物の大半がデンプンであるため腹持ちが良いのが特徴。
「蕎麦だけではお腹が持たない!」といった男性や、食べ盛りのお子さんがいる方にはピッタリの食材です。
さつまいもは、時間をかけて加熱することでデンプンがブドウ糖に変わり、甘みが増すため、厚めにカットしてじっくり揚げましょう。
表面に香ばしい色がつくまでじっくりと揚げ、引き上げた後はペーパータオルに包んで10分ほど余熱で火を入れると甘くホクホクのさつまいもの天ぷらが出来上がります。
じゃがいもやかぼちゃも同様に、余熱で火を入れてみてください。
かき揚げ
余った食材や旬の食材を組み合わせて作れるかき揚げも、蕎麦との相性も抜群です。
特に人参は、生で食べるとβ-カロテンの吸収率8%ほどですが、油で加熱することで70%に上がります。
そのため油で揚げるかき揚げは、人参のおすすめの調理法です。
千切りした人参のかき揚げを見ることも多いですが、千切りが面倒な方は厚さ7〜10mmの拍子木切りで作ってみてください。
また、かき揚げといえば桜えびです。春と秋に旬を迎える桜えびのかき揚げは、蕎麦では満足に得られないたんぱく質やカルシウムを補うことができます。
香り強いかき揚げになるため、天ぷらそばにして食べるよりも蕎麦のおかずとして食べるのがおすすめです。
サクッと香ばしいかき揚げになるため、旬の時期はぜひ挑戦したいですね。
江戸時代から認められている蕎麦と天ぷら
蕎麦も天ぷらも江戸時代の同時期に屋台の食べものとして、親しまれていました。
蕎麦の出汁とこってりした天ぷらの組み合わせは、江戸っ子の心を捉えたようです。
また、現在では味だけでなく、栄養面からも理にかなった食べ合わせと言えるでしょう。
蕎麦では十分に得られない、たんぱく質やビタミンなどを天ぷらで補えます。
また、天ぷらはお出汁がしっかりと効いた甘めつゆが魅力の出雲そばとも、相性が抜群です。
蕎麦とともに、お好みの天ぷらを堪能しましょう!
参考書籍:
- すし 天ぷら 蕎麦 うなぎ ー江戸四大名物食の誕生
- 「てんぷら近藤」主人のやさしく教える天ぷらのきほん
- 一生役立つ きちんとわかる栄養学
- その調理、9割の栄養捨ててます!