島根県出雲「出西窯」とは?陶器にはどんな特徴がある?購入できるところは?
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陶器を集めている方や新たな陶器を探している方のなかには、「出西焼」「出西窯」を聞いたことがある方もいるでしょう。
出西窯とは島根県にあり、唯一出西焼を作っている窯元です。
どんな食卓にも料理にも馴染む、シンプルで使いやすい陶器が多いのが特徴です。
そこで今回は、島根県出雲市にある出西窯で作られる陶器の特徴や購入できるところなど、詳しく解説していきます。
「出雲旅行で出西窯に行きたい!」という方も要チェックです!
目次
出西窯とは?
出西窯とは、島根県出雲市にある食器を制作する共同窯です。
出西窯で作られる陶器は出西焼と呼ばれていますが、窯元は出西窯のみのため「出西焼=出西窯」として認知されています。
そこでここでは、出西窯の特徴をいくつか紹介します。
【くらしの陶・無自性館の基本情報】 | |
住所 | 〒699-0612 島根県出雲市斐川町出西3368 |
電話番号 | 0853-72-0239 |
営業時間 | 9:30〜18:00 |
定休日 | 毎週火曜(祝日を除く) |
駐車場 | あり(80台分の無料駐車場を完備|大型・中型バスは事前の連絡が必要) |
アクセス | 電車:JR出雲市駅よりタクシーで約10分
飛行機:出雲空港よりタクシーで約20分 車:山陰自動車道斐川 ICより約7分 |
農家の青年5人が立ち上げた窯元
出西窯の歴史は比較的新しく、戦後間もない昭和22年(1947年)、柳宗悦の民藝運動から触発された農家の5人の若者によって誕生しました。
柳宗悦の民藝運動では、くらしの道具の「飾らない美」と「機能性」をあわせ持つ“用の美”を説いており、これらに影響を受けて誕生した窯元です。
創業から柳宗悦氏、濱田庄司氏、バーナード・リーチ氏など民藝運動の推進者たちの指導を受けて繁栄していきましたが、島根県の伝統的な技法も継承している窯元でもあります。
創業時は5名でしたが、今では約15名の職人が集まり、くらしの道具として日々の生活で使われる食器を作っています。
全国でも珍しい共同体で制作
出西窯の大きな特徴は、約15名の職人が集まる共同体での制作です。
一般的な焼き物は、たとえば「有田焼」に対して「真右エ門窯」や「やま平窯」など「〇〇窯」と呼ばれる窯元がいくつも存在します。
また、窯元によっては「〇〇製磁」や「〇〇党」「〇〇製陶所」と呼ぶこともあり、それぞれの焼き物に対して個人作家が個性を生かした制作を行っています。
しかし、出西焼は出西窯のみであり、そのなかに複数名の作家が所属している全国でも珍しい共同窯です。
すべて島根県産の原料で作られている
出西窯で作られる出西焼は、すべて島根県産の素材を使用して作られています。
陶器づくりには、粘土のもととなる土や表面に塗る釉薬、焼き上げ時に使用する薪などの原料が必要ですが、これらはすべて島根県産です。
これは、出西窯の願いのひとつである“郷土の土や釉の原料を大切にする仕事(引用:出西窯|出西窯の成り立ち|同人共通の願い)”」の想いから続いています。
さらに、土から粘土を製造する工程から、6連房の大きな登り窯で焼き上げる工程まですべて一貫して出西窯の工房内で行われています。
現在では、製土から焼き上げまでを一貫する窯元も少なくなっています。
出西焼が購入できる場所はどこ?
出西焼は、出西窯の公式オンラインショップから購入可能です。
また、東北・関東・中部・近畿・中国四国・九州では、それぞれ出西焼を取り扱うお店が点在しています。
出西窯公式ホームページの「購入できる場所」からチェックしてみてください。
さらに、出西窯には直売所が併設されており、実際に見て、食器を手に取って選べます。
「画像のお皿と色味が一緒なのか気になる」「マグカップの使い心地を確かめたい」など、食卓に並べる食器を慎重に選びたい方や、島根県出雲での旅行のお土産選びにもぴったりです。
出西窯のベーカリー
出西窯の敷地内には、出西焼のアイデアを発信する場として、ベーカリーの「Le Cohon d’Or(ルコションドール)」があります。
店内にはカフェもあり、提供される料理には出西焼が使われています。
出西焼と料理の組み合わせ、盛り付けなど食卓に出西焼を使用する際のアイデアが取り入れられる空間です。
2023年8月現在は、「BLTサンドーサラダ付ー」や「カレープレート」などの食事から「出西プリン」などのデザート、「出西ブレンドコーヒー」などのドリンクも用意されています。(参考:出西くらしのViLLAGE|Le Cohon d’Or)
また、出西焼の直売所「無自性館」を囲うように出西窯、「Le Cohon d’Or」、服と日用品の「Bshop」があり、これらを含め「出西くらしのViLLAGE」と呼ばれています。
“自分らしく、心地よく、健やかに、美しい暮らし(引用:出西くらしのViLLAGE公式サイト)”というキャッチコピーとともに、穏やかな時間が流れる空間が広がっていますよ。
【Le Cohon d’Or(ルコションドール】 | |
住所 | 〒699-0612 島根県出雲市斐川町出西3368 |
電話番号 | 0853-27-9123 |
営業時間 | 9:30〜17:00 |
定休日 | 毎週火曜・第2/第4水曜 |
公式サイト | https://www.shussai-village.jp/lecochondor |
出西焼の特徴は“用の美”が追求された作品
出西窯で作られる出西焼の食器の特徴は、民藝運動で謳われた“用の美”が追求されています。
そこでここでは、出西焼の特徴について詳しく紹介します。
作品に個性を出さない
出西窯は共同窯として、現在約15名の作家さんが集まっていますが、それぞれに担当する食器があり、成形から釉掛けまで行っています。
作り上げる食器はどんな食卓にスッと馴染むよう、それぞれの作家の個性を出しません。
これはくらしの道具の“用の美”を大切にした、創業当時の想いを受け継いでいるためです。
そのため、出西窯ではすでにある食器とも馴染みが良く、和食・洋食、どんな家庭料理にも合う食器に出会えますよ。
食卓を彩る出西ブルー
出西焼には代表色とも言われるブルーの食器があります。
鮮やかで深みのあるコバルトブルーは、「出西ブルー」と呼ばれており、「無自性館」に来る方の足を留めています。
しかし、もともと出西窯の代表色は「黒」であり、出西ブルーが出西窯の代表色になったのは、大きな賞を受賞してからと言われています。
「出西ブルーの器にはどんな料理を入れようか」などと、イメージしながら手に取ってみてください。
柳宗理ディレクション
出西窯の食器は、どれも食卓に馴染むデザインですが、そのなかに「柳宗理ディレクションシリーズ」があります。
インダストリアルデザイナー(工業デザイナー)であった柳宗理氏がはじめて出西窯を訪れたのは、父であり民藝運動の主唱者である柳宗悦氏が逝去した翌年の昭和37年。
それ以降、出西窯の創業者たちは柳宗理氏が出西を訪れた際には指導を仰いでおり、それから40年、若い世代へバトンタッチする際に再び柳宗理氏から指導を得て、平成16年に「柳宗理ディレクション出西窯シリーズ」が誕生しました。
出西窯の本来の代表色の「黒」を基調とし、シンプルながらモダンな印象のある「黒土瓶と湯呑」や黒釉と白釉それぞれを使用した、コントラストがたのしい「飯碗」など、毎日使いたい食器が豊富です。
出西窯の歴史を感じる、モダンな陶器を求めている方におすすめのコレクションです。
“洋”が組み合わさった器たち
出西窯には、“洋”の文化が組み合わさった食器が豊富です。
たとえば、「エッグベーカー」は昭和28年に民藝運動の一人であるバーナード・リーチ氏が指導して以来、出西窯で作られているスタンダードウェアです。
直火にかけられ、お好みの卵ができあがったら、そのまま食卓にも出せるため毎日の目玉焼き作りが楽に楽しくなるでしょう。
また、エッグベーカーよりも一回りほど大きい「片手土鍋 受皿付き」は、アヒージョを楽しめるようにと考案されたものです。
このように、出西窯は昔からある日本の食器だけでなく、“洋”を取り入れた食器も多いのが特徴です。
出西窯の蕎麦猪口(切立湯呑)で食べる出雲そば
神が集まる縁起の良い出雲から、「食にこだわりたい!」そんな方におすすめしたいのが、出西焼×出雲そばの組み合わせです。
日本三大そばのひとつである出雲そばは、そばの実の硬い殻まで丸々使用する「挽きぐるみ製法」で作られているため、栄養価の高さが魅力。
健康習慣としてそばを日常の食事に取り入れたい方にピッタリです。
丸くて朱い割子で食べるイメージのある出雲そばですが、自宅では手軽なざるそばで食べてみるのも良いでしょう。
完全無添加出雲そばなら創業100余年の「本田屋」
出西窯から車で15分ほどの距離にある「本田屋」では、無添加にこだわった出雲そばを製造しています。
出雲に行かなくても自宅で気軽に本格出雲そばを楽しめるようにとの想いから、三割〜十割そばまでのバラエティーに富んだ出雲そばをご用意。
さらに、常温保存可能な生そばと干しそばも選べるラインナップです。
出雲神話にちなんだシリーズは、スサノオとヤマタノオロチのイラストが入った、ユニークなパッケージのため、出西焼と一緒にお土産・プレゼントにもぴったり!
「出西焼のように島根県の素材で作られた出雲そばが欲しい!」という方には、島根県産のそば粉を100%使用した十割そばがおすすめです。
ぜひ、一度出雲そば専門店「本田屋」をチェックしてみてください。
島根の素材で作る出雲の出西窯
今回は、島根県出雲市にある出西窯で作られる陶器の特徴や購入できるところなど、詳しく解説しました。
出西窯は、複数名の職人が同じ窯元で制作する共同窯であり、土から粘土を作る作業や、成形した器を焼き上げる工程まで一貫して同じ工房で行っている全国でも珍しい窯元です。
柳宗悦の民藝運動によって感化された5人の青年によって誕生し、創業から現在までくらしの道具を作っています。
そのため、出西焼は食卓でも使いやすく、どんな料理や器とも馴染むといった特徴があり、使用する度に“用の美”を感じられるでしょう。
出西窯では併設して直営店や出雲焼を使用したベーカリーがあり、出雲旅行のプランのひとつとしてもおすすめです。
また出西窯の近くには、創業百余年の無添加出雲そば専門店「本田屋」があり、全国にお届けする出雲そばを製造しています。
出西焼を自宅に持ち帰り、本田屋の無添加出雲そばをお取り寄せして、食卓を囲んでみてはいかがでしょうか。