そば打ちに関する資格や検定まとめ|趣味を極める
お蕎麦辞典そばの豆知識ブログ
そばは、つなぎである小麦粉の含有量が少ないほど、そばの香りが強く、高い栄養価の恩恵も受けられるため、十割そばや八割そばを好む方も多いでしょう。
しかし、生地に弾力を出す小麦粉の割合が少ない分、そば打ちの難易度は高くなり、技術を要します。
そこで、そばを広めている各団体では、そば打ちやそばの知識に関する資格や検定を用意しています。
本記事では、そば打ちに関する資格や検定をまとめているため、資格取得の参考にしてみてください。
目次
そば打ちの手順と難易度
そば打ちは「そば打ち3年、こね8年」と呼ばれるほど難しく、奥の深いものとされています。
そば打ちの手順は主に以下のとおりです。
- 水回し
- こね
- 延し
- たたみ
- 切り
手順のなかでも「こね」は水の分量や加水のタイミング、加減などを温度や湿度、そば粉の種類によって変化させる必要があり、習得には経験を積むほかありません。
さらにそばは、もちもちとした弾力の出る小麦粉を使用するうどんとは異なり、そば粉を主に使用するため、茹でる前の生地は弾力が出にくく、ひび割れやすく切れやすい生地になります。
そのため、そば打ちはうどん打ちと比べても難易度が高いと言われています。
満足のいくそばを打つには経験から得られる勘が必要と言われており、知識と経験から得られる技術が必要です。
ただし、それだけ奥が深いそば打ちは、長く追求できる趣味とも言えるでしょう。
そば打ちに関する資格・検定4選
難易度が高く、知識や技術を要するそば打ちには、いくつかの検定や資格が存在します。
趣味としてそば打ちをはじめる方も、資格や検定合格を目標にするのも良いでしょう。
そば道段位認定制度
「一般社団法人 全麺協」が主催しているのが、「そば道段位認定制度」です。
段位は初段位から五段位、上段位として六段位から八段位まであり、そば打ちの技能や知識、「そばの普及活動による地域振興の貢献度」などを審査します。
そば道段位認定制度の受験資格は以下のとおりです。
- そば打ちを職業としない方
- 13歳以上の方
四段位は事前審査、五段位は一次審査や筆記試験などが追加され、正会員による推薦がないと受験できません。
そば打ちを職業にしない方が対象のため、趣味としてそば打ちを行っている方の腕試し・知識試しの場としておすすめです。
(参考:一般社団法人 全麺協|段位認定制度)
手打ちそば蕎段認定制度
「一般社団法人 日本そば文化学院(JSA)」が主催する「手打ちそば蕎段認定制度」は、そば文化や日本文化を継承する目的で設けられた資格認定制度です。
三級から一級、翔段(初段)から八段まで用意されており、そば打ちを突き詰めることができます。
例として初段の試験は、以下のような内容です。
- 使用そば粉:粗挽き(二八)
- 総量:750g
- 制限時間:40分
そばの切り揃えはどの段位であっても1.5mmと定められています。
プロ・アマチュア問わず挑戦でき、他の団体が認定する四段位までの認定証を提示することで、五段位の受験も可能です。
(参考:一般社団法人 日本そば文化学院(JSA)|手打ちそば蕎段認定制度)
そばリスト検定
「NPO法人 そばネットジャパン」が主催するのは、「そばリストそば学検定」と「そばリスト技能検定」の2つです。
「そばリストそば学検定」は、そばに関する知識を筆記試験で審査するものであり、郵送やメールにて問題送付したものを解答するため、自宅にいながら気軽に受けられます。
「そばリスト技能検定」では、実際のそば打ち技能が審査対象です。
三級から一級、初段から六段まで用意されており、三級・二級は小学生も参加できるため、子どものそば打ち技能を試すことも可能です。
初段の試験は、以下のような内容です。
- 使用そば粉:普通粉(二八)
- 総量:750g
- 制限時間:45分
そばリスト検定はいずれも、年齢・性別・国籍・プロやアマチュアなど一切問われないため、知識試しにはぴったりでしょう。
(参考:NPO法人そばネットジャパン|そばリストそば学検定規程集)
(参考:NPO法人そばネットジャパン|そばリスト技能検定規程集)
蕎麦鑑定士
「蕎麦鑑定士」は片山虎之介氏(日本蕎麦保存会)が主催する「蕎麦鑑定士養成講座」を受けて認定される資格です。
4級から1級まで用意されており、1級までにはテキストが16回、動画が8本オンライン配信され、自宅にいながらそばに関する深い知識が学習できます。
認定試験はメールで受験でき、合格した場合は年に1回東京の会場で開催される認定講座に参加することで、認定証が授与される形です。
東京の会場で開催される認定講座では、各級につき12種類のそばの味を体験できるため、1級まですべて参加すると計48種類のそばを知ることができます。
東京に足を運ぶのがむずかしい方は、事務局に問い合わせることで別の方法で学ぶことも可能です。
講座では、そば打ちは行いませんが、そば打ちの方法によって味が変わることやそばの持ち味を引き出す製粉など、そば打ちにも活かせる知識が幅広く学べるでしょう。
(参考:日本蕎麦保存会|蕎麦鑑定士)
全国にはそば打ち教室も豊富
「まずは自宅でそば打ちをはじめたい」という方は、そば打ち教室に参加することで気軽にそば打ちがはじめられます。
「蕎麦鑑定士養成講座」を行っている日本蕎麦保存会では、「蕎麦のソムリエ講座」を開催し、日本そば本来の打ち方で十割そばを打つ教室を開催しています。
十割そばはつなぎである小麦粉を使用しない分、そば打ちの技術が必要ですが、はじめての方でもおいしく打てるカリキュラムが用意されています。
さらに、独立開業を目指すそば打ちのプロを養成する「江戸東京そばの会」では、体験教室も開催。
プロを目指さない方や海外からの観光客も気軽に参加できるそば打ち教室です。
そば打ち教室は全国各地で開催されているため、通いやすいところを探してみましょう。
そば職人として働くには資格が必要?
ここまで、そば打ちに関する検定や資格をご紹介しましたが、そば職人として働くために必要な資格はありません。
そば打ちの確かな技術や経営力があれば、そば屋を開業することは可能です。
ただし、飲食店の開業には食品管理責任者の資格や30名以上収容できる飲食店であれば、防火管理者の資格が必須です。
出雲そばを自宅で試すなら「本田屋」
創業百年余の歴史の長い本田屋は島根県出雲に拠点を構え、日本三大そばのひとつである出雲そばを製造しています。
趣味の域にはなりますが、本田屋では社長をはじめ蕎麦の製造に携わる者はそば打ちを行えます。
筆者もその一人。
みな自分が打った蕎麦が一番美味しいと自負していますし、確かに手打ちそばは美味しいです。
本田屋の蕎麦は機械での製造となりますが、手打ちそばの味を知っているからこそ、その味に近づけるために努力を重ねています。
手打ちそばは日持ちがしませんが、食品添加物不使用でありながら、常温保存で180日の賞味期限を可能にした本田屋の出雲そばをどうぞお試しくださいませ。
そば打ちの向上に役立つ資格・検定
今回は、そば打ちに関する資格や検定についてご紹介しました。
そば打ちに関する資格や検定は各段が細かく分かれており、審査内容も明確であるため、目標にしやすいでしょう。
実際、そば職人になるためには資格は不要ですが、趣味としてのそば打ち上達へ向けたひとつの指標として、そば打ちに関する資格や検定を狙ってみてはいかがでしょうか。
技術や知識の習得に比例して良い道具が欲しくなるものですが・・。
「そばリストそば学検定」は、筆記試験だけですが自宅にいながら気軽に受けられるため、そばの知識を取り入れるにはぴったりですね。