
風味はそば粉で決まる!そば好きなら知っておきたいそば粉のこと
お蕎麦辞典そばの豆知識
そば粉は、タデ科のそばの実を挽いた粉。ひと口にそば粉といっても、種類や挽き方によって風味や香りがまったく異なります。そばの実からそば粉にするための製粉方法やそば粉の種類について知識があれば、自分好みのそばにきっと出会えます!
そばの実からそば粉になるまで
殻のついたそばの実・玄そばを粉にするためには、さまざまな工程を経る必要があります。
まずは玄そばに混入したワラなどゴミを取り除き、玄そばを磨いていきます。その後、石を取り除くための「石抜き」という作業を経て、粒の大きさをそろえるべくふるいにかけていきます。
大きさがそろったらそれぞれ脱皮機にかけてそば殼を剥き、混ざった殻を取っていよいよ挽く作業へと移ります。
挽き始めに出てくる粉は「一番粉」と呼ばれ、そばの実の中心部分にある胚乳の、さらに中心部の粉です。そばらしい独特の風味は控えめですが、白色でほのかな甘みがあるのが特徴。炭水化物と水分が主な成分です。
一番粉の次に出てくる粉は「二番粉」。胚乳と胚芽の一部で構成され、香り高く風味も良いとされています。中層子とも言われます。
二番粉の次に出てくる粉は「三番粉」。やや暗い青緑色をしていて、胚乳の一部と胚芽、さらに甘皮も含まれています。甘皮まで含まれるので栄養価が高く、香りも抜群。一番粉・二番粉よりももそもそとした食感が強めです。
三番粉の次に出てくる粉は「末粉」といい、いちばん黒っぽいそば粉です。そばの実の中でも甘皮や胚芽の割合が高く、ホシという甘皮やそば殻の破片が多く含まれます。
風味はとても強く栄養価も高いそばで、乾麺の色付けなどに用いれれることも。四番粉や五番粉と呼ばれることもあります。
そば好きなら、挽きぐるみか玄挽きを
そば粉は一番粉〜三番粉で分けられるほか、「挽きぐるみそば」「玄挽きそば」という分け方もあります。
挽きぐるみそばは、一番粉〜三番粉を取り分けない「全層粉」と呼ばれるもので、そばの胚乳から甘皮までさまざまなおいしさが味わえるのが特徴です。
一方「玄挽きそば」とは、精選した玄そばを丸ごと挽き込んだそば粉のこと。黒殼もしっかりと挽いているため粒感があり、風味や香りが楽しめます。
いずれもそば独特の香りがぐっと引き立つため、そば好きの方がより好むそば粉と言えます。
石臼挽きと機械(ロール)挽き
さらに、そばの実は挽き方によっても風味や味わいが異なります。大きくわけて、石臼を使って挽く昔ながらの「石臼挽き」と、機械を使い生産効率を高めた「機械(ロール)挽き」の2種類があります。
そばは熱に弱く、製粉時に熱が発生すると水分と一緒に風味が飛んで香り高いそば粉にならないとされています。石臼挽きなら、ゴリゴリと石臼を回しながらじっくり時間をかけて製粉するため、熱が溜まりにくいのが特徴。風味や香りを損なうことなく、そば本来のおいしさが堪能できます。
一方機械(ロール)挽きは、ローラーを高速回転させることでそばの実をすりつぶし、製粉する方法。一番粉から三番粉、末粉まで明確に分けることができて、とても効率的です。また石臼挽きよりも素早く挽けるのもうれしいポイント。ただし摩擦が大きくなることで熱が出てしまい、そばの実の風味や香りが損なわれてしまいがち。一般的に機械(ロール)挽きより石臼挽きのほうが味が良いとされています。
ただ、ここ最近は技術の進化によって機械(ロール)挽きでも熱が出にくく、おいしいそば粉が出来上がるようになりました。どんなそばに仕上げたいかによって使い分けられるようになり、機械(ロール)挽きも積極的に取り入れられています。
新鮮なそば粉
さらにここからが重要なポイント。
美味しいそばの条件として挙げられる「挽きたて」「打ちたて」「ゆがきたて」の「挽きたて」。
通常、そばの実は製粉会社によってそば粉に製粉されますが、製粉された時から風味が落ち始めるため、いかに早く製麺するかで風味が変わってきます。
製粉から製麺するまで1週間くらいはかかってしまうのだそう。時間が経つと香りと一緒に水分も蒸発するのでそば打ちをする時もまとまりにくいそば粉になってしまうことも。
どれだけ新鮮なそば粉を使っているのか?で風味が大きく違ってきます。
出来上がったそばだけでなく、どのような工程でそば粉へと仕上がったのか違いを知れば、そばを食べるたのしみがもっと広がります。そば粉を見極めて、自分が好きな味をぜひ見つけてみてくださいね。