福島県で食べられる「白河そば」のルーツや特徴とは
お蕎麦辞典そばの豆知識ブログ
「白河そば」とは、福島県・白河市で食べられる郷土料理。
白河エリアはそばの産地としても知られ、信州・出雲・盛岡とともに日本四大そば処のひとつです。
今回は、そんな白河そばに迫ってみたいと思います。
白河そばの始まり
江戸時代、睦奥白河藩第3代藩主であった松平定信が、冷害に強いそばの栽培を奨励したことからそばが作られるようになりました。
痩せた土地でも育ちやすいそばは、白河をはじめさまざまな土地の“お助け食材”として機能していたのですね。
また阿武隈川水系の清らかで冷たい水、寒冷な気候などもそば粉と合致し、おいしいそば処として知られるように。
これにより、現在までも続く“白河そば”の礎となりました。
白河そばってどんなもの?
白河そばを代表するメニューは、小さな皿に小分けされた割子そばです。出雲の割子そばと少し違い、山菜やイクラ、とろろやなめこなど、具材も小分けにされて提供されることが多いよう。
小分けのそば皿に小分けの具材を一つずつ入れて、味の違いやそばと具材のバランスを楽しみながら味わうことができます。
なお打ち方やつゆに白河そばならではの決まった製法はなく、その店独自の製法で提供されているとのことです。
白河はそばのほかラーメンも有名!
白河エリアはそばだけでなく、うどんやラーメンなども独自に発展し全国的に知られています。とくにラーメンは「白河ラーメン」として知られ、市内には100軒以上のラーメン店がひしめいています。
白河ラーメンのルーツとなる支那そばは、大正10年に誕生。
その後、そば職人がそば打ちの技法でラーメンの麺を作り始め、白河ラーメン独特の手打ちちぢれ麺が生まれたそうです。
コシのある手打ち麺がしょうゆベースの奥深いスープに絡まり、何度食べても飽きないおいしさです。
また、うどんはここ最近手打ちする店がぐんぐん増えているのだとか。
白河に来たら、ぜひ麺料理は味わっておきたいところですね!
興味深いそばの食べ方
福島県には、白河そばのほかにも「そんな食べ方/打ち方があったんだ!」と思わず唸ってしまうそばがあります。
ひとつは「水そば」といって、お水でそばを食べる文化です。喜多方市の山間の町には、山から澄んだ清流が流れてきます。水そばは、この美しく凛とした水に打ち立て・ゆでたてのそばを入れてそのままいただく食べ方。最初は「ん?」と思うかもしれませんが、食べ進めるうちにそばの風味がぐっと引き立ち、噛めば噛むほどそば本来の甘みを感じられます。清らかな水とともにつるりんとした喉越しもまた楽しめ、そば通にはたまらない味わいなのです。
また福島県の奥会津、檜枝岐村では「裁ちそば」という一風変わった打ち方がなされています。これは、つなぎなしで仕上げたそばを約2、3mmの厚さで伸ばして重ね、包丁を引きながらまるで生地を裁断するように切る製法。かつては「裁ちそばが作れないとお嫁にいけない」と言われたほど、この地域の伝統的な製法です。
小さな山間の集落でも、良質なそば粉を使った独自の製法が丁寧に受け継がれています。
福島県に行けば、白河そばをはじめ、そばのおいしさをまた改めて発見できそうですね!