
そば打ちの主役道具「こね鉢」を極める
お蕎麦辞典そばの豆知識
そば打ちの道具には、本格的なものから初心者向けまで幅広く揃っています。
今回は、そば粉と水をこねるための道具「こね鉢」をピックアップ。
朱色に塗られたこね鉢はとくに美しく、そば打ちの主役ともいえます。
一鉢・二延し・三包丁
「一鉢・二延し・三包丁」という言葉をご存知でしょうか?
古くから言い伝えられているこの言葉は、そばを手打ちする際の工程を表しています。
「鉢」とは、そば粉と水を混ぜ合わせるための木鉢のことで、まさに今回ご紹介するこね鉢の意味。
「延し」はひとまとめにしたそば粉を麺棒で薄く延ばすこと、「包丁」は薄く延ばしたそばを包丁で切ることとなっています。
この「一鉢・二延し・三包丁」はそば打ちの順序を示すだけでなく、その技術を習得するのが難しい順番も示しているのだとか。
つまり、鉢を使ってそば粉をひとまとめにするのがいちばん難しいということ。
難しさをさらに印象づけるため、「包丁三日、延し三ヶ月、木鉢三年」という言葉もあるようです。
そば打ち最初の難関は水回し!
そば打ちの何が難しいかというと、そば粉同士が容易にくっついてくれないことに他なりません。
そば粉には粘りを引き出すグルテンなどの成分がないため、そば粉のひと粒ひと粒に水をまとわせてこね上げ、なめらかな玉にする必要があります。
このときの、水をまとわせる作業を「水回し」と呼びます。
砂で団子を作った経験があればわかりやすいかもしれませんが、たとえ団子になったとしても、粘り気がないとちょっとした衝撃ですぐに崩れてしまいます。
熟練のそば職人であっても「そば粉の出来や、そば粉自体が持つ水分量や室温、湿度によって十割そばを作るのは難しい」と唸らせるほどで、匠の技といえるのです。
まずはこね鉢にそば粉を入れ、水は何回かに分けて加えます。まずはじめに、用意した水の半分を加え、粉に水が均等にまとわりつくように指先を使って混ぜていきます。
もみほぐすようにさっさっと素早く、かつ丁寧になじませましょう。残りの水を何回かに分けて加え、ほぐすように揉み込むと、だんだんと大きな粒になっていき、なめらかなそばの玉が出来上がります。
水がきちんと回っていないと、その後の工程「延す」「切る」を行なっても短く切れて、ボロボロな仕上がりになってしまいます。
こね鉢を選んでみよう
初心者のうちは大きめのステンレスボウルなどでこね鉢の代用ができるため、そば打ちに慣れるまで大きなこね鉢には手を出さなくてもOKです。
ただ朱色に塗られたこね鉢は見た目がとてもスタイリッシュなので、手に入れたいという欲望が…! というわけで、「こね鉢の選び方」についてご紹介していきましょう。
選ぶ基準、まずひとつめに見ておきたいのが、大きさです。こね鉢の大きさは尺で表され、一般的な大きさは尺5寸(直径45cm)、尺6寸(直径48cm)、尺7寸(直径51cm)、尺8寸(55cm)あたり。
比較的小さい尺5寸だと、5人前程度のそばが打てる大きさです。
一方、15人前ほどのそばを打ちたいときには尺8寸ぐらいは欲しいところ。
サイズが大きくなるごとに価格も高くなるので、用途を見極めて選びたいですね。なお、家庭用としては尺6寸あたりが人気のようです。
また内側が緩めのカーブになっていたり、そば粉が中心に集まりやすいような設計だったりと、さまざまなデザインがあります。素材も、漆塗りからウレタン仕上げ、樹脂漆仕上げなど種類も豊富。
とくにこだわりがなければ1万円弱ほどで手に入れられるので、まずはリーズナブルなものから試してみましょう。
これは経験からですが、ずっしり重みがある方がコネ鉢が動きにくく、作業しやすいですよ。
こね鉢を保管するのに便利な「こね鉢立て」は、ひとつあるととても便利。
使わないときに立てかけておけるので、スペースを取らない上に朱塗りの美しいこね鉢をインテリアとしても楽しめます。
見た目も美しいこね鉢を手に入れて、そば打ちに精を出しましょう!















